黒玉という和名も持つジェット。
その正体は海底に沈んだ樹木の化石であり、ゆえに黒琥珀と呼ばれることもあるようだが、琥珀が樹脂の化石であるのに対し、ジェットは樹木そのものの化石である。
海底において長い年月をかけ圧縮され、炭化したジェットは、希少なる有機質の宝石のひとつであり、遥か古代より人類に特別なものとして扱われてきた、最古のパワーストーンのひとつでもある。
悪いエネルギーを避けるジェット
磨き上げることで他にはない美しさを発揮する「漆黒の宝石」ことジェット。
その第一の効果は、周囲からの余計なエネルギーをシャットダウンすることにある。
ジェットを身につけると、周囲の人の意見や環境がどうあれ、それに妙な影響を受けることがなくなる。
自分というものを見失うことなく、良くない道に進むことなく―――成すべき事を成し遂げられるようになる。
もちろん意志を強めてくれると同時に冷静さも与えてくれる石なので、自分にとって有益な意見、変化であれば、柔軟に受け入れるようにもなる。
多くの黒色のパワーストーンがそうであるように、ジェットもまた魔除け、厄除けの効果も有する。
ジェットには悪いエネルギー、害あるエネルギーを吸収する力がある。
もとは木であり、褐炭の一種でもあるので、燃やすと独特の煙を出す。
その煙を使って、悪霊を浄化する。あるいは悪いエネルギーを吸い込ませた後、燃やしてしまい、煙とともに天に返す。
魔術の世界では、悪霊払いの術法として、そのような使われ方をすることもあったようだ。
喪に服すための石
ジェットはモーニングジュエリー―――つまり葬儀の際、女性が身につける宝石としても扱われてきた。
ジェットを何より愛用し、夫の死後何年にもわたって身につけ続けたイギリス・ヴィクトリア女王のエピソードは有名だが、それ以外にも世界中の様々な地域で、ジェットは古くから故人を追悼するための宝石として身につけられてきた。
その理由は前述通り、ジェットに厄除け・魔除けの力があるからでもあるが、それと同時に、ジェットが遺族の心を支え、慰めてくれる石だからでもある。
大切な人を失って傷つき、不安になった心を、ジェットは優しく支える。
溢れる悲しみを、ジェットは穏やかに、その黒色の中へと吸収する。
清らかな闇の中で、やがてその悲しみはポジティブなエネルギーへと転換され、遺族が前に向かって歩き出せる力を与えてくれるのだ。