古代から世界各地で神秘的な宝石として崇められ、仏教においても七宝のひとつに数えられる珊瑚(コーラル)。
その美しく愛らしい外見に反し、そこには他の宝石に負けないほどパワフルな海の力がこもっている。
人生の“荒波”をうまく乗り切るための石
海からの贈り物、3月の誕生石たる珊瑚。
この「動物由来」の“宝石”は、世界各地で、子供の守護、魔除けや厄除け、航海のお守りなどの効果があるとされ、信奉されてきた。
特にイタリアでは、赤い珊瑚は幸運をもたらすとされ、いま現在でも多くの人々に愛好されている。
珊瑚にふれた人は、その由来を考えるまでもなく、そこに母なる海のパワーを感じるだろう。
珊瑚に秘められたパワーストーン的特質は、様々なことに対する健全な“制御力”だといわれている。
荒波を思わせるようなトラブルを前にしても、珊瑚の持ち主は動じない。
リラックスした状態を崩さず、一見その状況に身をゆだねたかのように見えながらも、じっくりと時を待ち、事態を改善し、やがてその状況そのものを自分の意のままに操ってしまう。
敵や災いを前にしても争うことなく、それらを受け入れ、やがていつの間にかすべてを自分の都合の良いよう支配下に置く―――そのようなパワーが身につくのだ。
そういう「争うことなく」、一方とても「したたかな」珊瑚の在りようは、ある種、女性的なものともいえる。
実際、珊瑚はとても女性と相性のいいパワーストーンだ。
珊瑚は母なる海の“華”である。
女性が珊瑚を持つと魅力的に見えるのはなぜだろう。海という母なる世界の母性と、華やかさを同時に有することができるからだ。
あまりにもパワフルな“海龍”の力
琥珀や真珠同様、生物由来のパワーストーンなので、珊瑚もまた我々人間に馴染みやすいエネルギーを持つ。
一方硬度は弱いので、取り扱いには注意が必要だが、にもかかわらず、珊瑚には意外なほどにパワフルな、荒々しいといってもいい側面も秘めている。
珊瑚に秘められているのは、潮と海流とのエネルギーだ。その点は、太陽と大地のエネルギーをじっくりとため込んだ琥珀とは異なる。
では真珠とは似ているのかというと、そうでもないのだ。
珊瑚が育つ海は比較的穏やかな海だが、それでも常に潮の中にさらされている。
潮流と海流は厳密には異なるものだが、しかし海は繋がっている。潮の中には海流の力も含まれる。
大いなる七つの海を巡る海流―――すなわち偉大なる海の龍の力だ。やさしく、じっくりと、珊瑚は海の龍の力にその身をさらし、それを吸収しながら育つ。
その点が、真珠貝の中でしっかりと守られ、海の母なるエネルギーのみをじっくりと吸収した真珠と異なる点だ。
前述通り珊瑚は少々のトラブルがあっても争うことなくうまくその場を制御しようとするが、もし持ち主が深刻な命の危機に瀕した場合、そのときはその内に秘めし真の力―――すなわち龍の力を解放するだろう。
おそらくその後は力を失い、場合によっては割れて朽ち果てるかも知れないが、内なる力を余すことなく発揮して、敵を打ち倒し、持ち主を守護することだろう。